CCしながわLabの川内です。
6月29日の第2回の参加募集において、想定以上に早く定員に達してしまったため、
急遽、第3回キャリアコンサルティング事例検討会を企画し、7月15日に開催いたしました。
多方面で活躍される6名の方々にご参加いただき、今回も前回に劣らず活発な議論を行うことができました。
取り上げた事例は「教育機関における複数のキャリアコンサルタント(CC)が係わる複数回の就業支援」でした。教育機関、特に大学生の就業支援においては、特定期間にクライアント(CL)が集中することが多く、また、就活の“波”に乗りきれなかったり、思ったような成果につながらないCLの長期フォローアップなどの理由で、事例のように複数CCによる複数回面談となることが少なくないそうです。
今回の事例では、相談初期の対応が適切であったにも係わらず、CC間の引き継ぎによって起こってしまった問題に着目して、参加者の皆様による活発な議論が行われました。特に、繁忙期には適切なタイミングで充分な時間がとれない状況での、深い自己分析サポートの難しさや、パーティションのみで仕切られた相談スペースにおいて、家庭環境など、センシティブな個人情報について深く傾聴できないなど、リアルな現場での問題点についても意見があり、理想と現実のギャップについてもディスカッションを進めることができました。
このような事例に対応していくために重要なこととして、次のようなポイントがあげられました。
①「仕事を決めさせなければいけない」というCC側の意識が強すぎると、
結果としてCLの真の自己理解を阻害する危険がある。
②「就職ありき」ではない観点で傾聴することも重要である。
③ 相談回数が増えると、後半を担当するCCの対応が
「やっつけ仕事」にならないように注意する必要がある。
④この事例のような現場では、CCの個人力だけでなく、
組織としての対応力を上げる対策を考える必要性がある。
⑤適性診断等のアセスメントを実施する際はそのタイミングを吟味し、且つ、
CCはその結果を正しくフィードバックできるスキルが必要である。その理由として、
却ってCLを混乱させる恐れがあるため、自己理解を深めるのツールとして用いる際は
十分な訓練を受けてからすること。
キャリアコンサルティングの現場は、常に理想と現実のギャップに立ち向かいながら、それでもCLへの最善の支援の実現を目指すことが求められるのかもしれません。
この状況に対して、自己研鑽を続けるCCもいれば、そうでない者もいるため、複数名のCCが連携する場合は、スキルの質的なギャップも生じてしまうこともあるでしょう。当然、短時間のディスカッションから解決策を見つけることはできませんでしたが、現実的な問題から目をそらさず、正面から議論し続けることが、何らかの可能性に到達する一番の近道なのかもしれません。
参加者アンケートでは、これまでよりもファシリテーション講座への希望者数が増えました。複数名CCで連携する場合は、統括するCCのファシリテーション力が重要になるのではないか?という気付きをいただきました。
CCしながわLABは、ご参加いただいた皆様からのご意見をもとに、みんなにとって必要な講座を開催していきたいと思います。
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